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イスラム教徒(インドネシア等)をキッチンに入れるには?「豚肉・アルコール」接触のOK/NGライン

「インドネシア人の応募が来たけど、うちは豚肉料理がメインの居酒屋だから無理かな…」
「イスラム教徒はお酒もダメって聞くけど、ドリンク場も任せられないの?」

特定技能(外食業)において、ベトナムに次いで合格者が多いのがインドネシア人です。しかし、彼らの多くが信仰する「イスラム教(ムスリム)」の戒律、特に「豚肉」と「アルコール」のタブーが壁となり、採用を躊躇してしまうオーナー様が後を絶ちません。

結論から申し上げますと、「豚肉を食べるのはNGだが、仕事として調理するのはOK」というスタッフが大半です。彼らを「扱いにくい」と敬遠するのは、非常にもったいない機会損失です。今回は、イスラム教徒をキッチンやホールで戦力化するための「OK/NGライン」と、トラブルにならない現場ルールの作り方を解説します。

1. まず理解すべき「ハラム(禁忌)」のリアル

イスラム教では、豚肉やアルコールを口にすることを禁じています(これを「ハラム」と言います)。しかし、日本の飲食店で働く彼らにとって、この戒律はどこまで厳格なのでしょうか?

「摂取(食べる)」と「接触(触る)」は別物

ここが最大のポイントです。彼らにとって罪なのは、あくまで「体内に取り入れること」です。業務として、ゴム手袋をして豚肉を切ったり、お客様にビールを運んだりすることは、「仕事だから仕方ない(許容範囲)」と割り切っている人がほとんどです。

※ただし、厳格さには個人差があります。中には「豚肉を見るのも嫌」「豚肉を調理した鍋の湯気も吸いたくない」という厳格な信者もいますが、そういった人はそもそも日本の居酒屋に応募してきません。

2. 業務別:どこまで任せられる?OK/NG境界線

具体的な業務シーンで見てみましょう。(※一般的なインドネシア人留学生や特定技能生の傾向です)

業務内容OK / NG対策・条件
豚肉のカット・仕込みほぼOKゴム手袋の着用が必須条件です。「素手」は嫌がられます。
豚肉料理の調理(炒める・揚げる)OK油跳ねが口に入らないようマスク着用を推奨。
料理の味見(検食)絶対NGこれだけは強要できません。「味見は店長か日本人スタッフがやる」というルールにします。
アルコールの配膳(瓶・グラス)OK問題ありません。
ドリンカー(お酒を作る)人によるビールサーバーはOKでも、シェイカーを振る(手に付く可能性がある)のは嫌がる人もいます。要確認。
食器洗いOK豚肉が乗っていた皿を洗うのは、手袋があれば問題ありません。

3. 採用面接で「必ず確認すべき」3つの質問

後々のトラブルを防ぐために、面接時に以下のことを具体的に確認してください。「イスラム教ですか?」と聞くのは差別ではありません。業務遂行上の必須確認事項です。

  • 質問①:「豚肉を扱う料理が多いですが、手袋をすれば調理できますか?」
    「とんかつを切ったり、豚バラ肉を巻いたりする仕事です」と具体例を出して確認しましょう。
  • 質問②:「お酒の提供や、お酒を作る業務はできますか?」
    ドリンカーを任せたい場合は必須です。「飲むのはダメですが、作るのは大丈夫ですか?」と聞けば、Yes/Noがはっきりします。
  • 質問③:「お祈りの時間は必要ですか?」
    「仕事中はしません(帰ってからやります)」という柔軟なタイプが多いですが、もし必要なら「休憩時間中に5分だけ」といったルールを決めれば、業務に支障はありません。

4. 現場での受け入れ:2つの「神対応」

彼らが気持ちよく働くために、店側ができる小さな配慮があります。

  • ① 「味見免除」をチームに周知する: 店長から「彼は宗教上の理由で豚肉が食べられないから、味見の係は他の人で回そう」と説明し、公認ルールにしてあげることが、彼らを守ることになります。
  • ② まかない(食事)の配慮: 「今日は豚肉抜き(鶏肉や魚)にしてあげよう」とか、「揚げ油は豚カツを揚げたものとは別にする」といった配慮があると、彼らは涙が出るほど喜びます。

まとめ:話し合えば「怖い」ことはない

「イスラム教だから雇えない」というのは、単なる食わず嫌いです。彼らインドネシア人は、世界一とも言われる「ホスピタリティ(おもてなしの心)」を持っており、笑顔が素晴らしく、チームの雰囲気を明るくしてくれます。

  • 「食べるのはNG、触るのは手袋があればOK」が基本。
  • 「味見」だけは日本人が代わる。
  • 面接で「どこまで許容できるか」を本人に確認する。

この3点を押さえれば、イスラム教徒のスタッフはキッチンの強力な戦力になります。多様性(ダイバーシティ)を受け入れることは、お店の対応力を上げ、将来的にハラール対応メニューの開発など、新たなビジネスチャンスにも繋がるはずです。