「もっと働きたいです!とおねだりされたから、ついシフトを増やしてしまった」
「うちでは週28時間守っているけど、実は他店でもバイトをしていたことが発覚した…」
留学生アルバイトを雇用している店長にとって、最も恐ろしいリスクが「資格外活動(週28時間以内)」の制限オーバーです。 「学生が勝手にやったことだから、店には関係ない」は通用しません。もし超過を知りながら働かせていた場合、経営者には「不法就労助長罪」が適用され、最悪の場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、さらには今後の外国人雇用が一切できなくなる重い罰則が科せられます。
今回は、店長と留学生の未来を守るための「28時間の壁」の徹底管理術を解説します。
1. 「週28時間」は、すべてのバイト先の合計

ここが最大の勘違いポイントです。 週28時間以内というのは、「自店舗での労働時間」ではなく、「すべての副業・掛け持ち先を合わせた総労働時間」を指します。
| 勤務先 | 労働時間(例) | 合算結果 |
|---|---|---|
| 自店 | 週15時間 | 計30時間 |
| 他店(コンビニなど) | 週15時間 | 判定:アウト! |
この場合、例え自店での時間が短くても、オーバーさせた責任は両方の店舗に及びます。
2. 留学生に突きつける「強制送還」の現実

留学生は「少しのオーバーならバレない」「お金が欲しい」と軽く考えがちです。まずは彼らに、ルールを破った時の代償の大きさを論理的に説明してください。
伝えるべき3つのリスク
- ビザの更新不可: 入管は納税記録や給与振込履歴をチェックしています。1時間でもオーバーが常態化していれば、次回のビザ更新は100%不許可になります。
- 強制送還: 学業を疎かにして働いているとみなされ、学校を退学させられ、国へ帰らされることになります。
- 再入国の禁止: 一度強制送還されると、数年間は日本に戻ってこれなくなります。
「君に長く働いてほしいからこそ、このルールだけは絶対に守らなければならないんだ」と、「彼らを守るための制限である」ことを強調して伝えてください。
3. 仕組みで防ぐ!勤怠管理システムの活用

「自己申告」に頼る管理は限界があります。ITツールとルールを組み合わせて、物理的にオーバーを防ぎましょう。
- ① 「ダブルワーク申告書」の提出を義務化する: 入社時および毎月のシフト作成前に、必ず「他店での勤務状況」を書面で提出させます。嘘をつかれていた場合、店側が「確認の努力をしていた」という証拠になります。
- ② シフト管理ソフトで「アラート」を設定する: 「Airシフト」や「ジョブカン」などのシステムを使い、週25時間を超えたら赤く表示される設定を行います。実質25時間を上限にしておくのが現場のプロの技です。
- ③ 給与振込口座の一致を確認: 「入管法遵守のため、すべての収入を合算して管理する必要がある」と説明し、他店でのバイトを含めた透明性を求めましょう。
4. 「長期休暇(夏休み・冬休み)」の例外ルール

留学生には、週28時間の制限が「週40時間(1日8時間)」まで緩和される特例期間があります。
- 条件: 学校が定めた「学則による長期休業期間」であること。
- 必要書類: 学校が発行する「長期休業証明書」または学校カレンダーのコピーを必ず提出させ、店舗で保管してください。
※「授業がたまたま休講になった日」などは対象外です。ここを勘違いして40時間働かせると即アウトです。
5. 特定技能への切り替えを「アメ」にする

「もっと稼ぎたい」という意欲の高い留学生には、無理にバイト時間を増やすのではなく、「特定技能」へのビザ切り替えを提案しましょう。特定技能になれば労働時間の制限はなくなり、日本人と同じようにフルタイムで稼げるようになります。
まとめ:管理の甘さは「店」を潰す
留学生の「お金が欲しい」という善意や困窮に同情してシフトを増やすことは、結果として彼らの人生を壊すことになります。
- 「28時間は全バイト先の合算」であることを周知する。
- 他店での労働時間を書面で毎月把握する。
- システムで「25時間アラート」を設定し、余裕を持つ。
コンプライアンスを守ることは、店舗のブランドを守ることです。「あの店はルールが厳しいけど、スタッフを大切にしてくれる」という評判が、結果として質の高い人材を引き寄せます。



