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飲食店特有の「労災」を防ぐ!包丁・スライサー・油ハネ…外国人への安全指導と保険加入

「外国人スタッフがスライサーで指を深く切ってしまった!」
「フライヤーの油が跳ねて火傷をしたらしいが、『大丈夫』と言って病院に行こうとしない…」

包丁、火、油、滑りやすい床。飲食店のキッチンは、一歩間違えれば大怪我につながる「危険地帯」です。 特に外国人スタッフの場合、日本語の注意書きが読めなかったり、危険に対する感覚が日本人と異なったりするため、労災事故のリスクは日本人の数倍とも言われています。

もし事故が起きた時、「外国人だから労災は使えない」などと誤った判断をすれば、それは「労災隠し」という犯罪になります。 今回は、飲食店で多発する外国人スタッフの事故原因と、経営者を守るための安全指導・労災対応について解説します。

1. そもそも外国人に「労災保険」は使える?

結論から言えば、国籍や在留資格に関わらず、労災保険は適用されます。 アルバイトの留学生であれ、特定技能の正社員であれ、日本国内で働いている限り、日本人と全く同じ条件で補償を受けられます。

「治療費」はタダ、「休業補償」も出る

業務中の怪我で病院に行く場合、労災を使えば治療費の自己負担はゼロです。 また、怪我で働けない期間(4日目以降)は、給付基礎日額の約8割が補償されます。

経営者のリスクヘッジ: 「保険料が上がるから使いたくない」と健康保険を使わせるのは違法です。 万が一、後遺障害が残った場合、労災を使っていないと会社に対して数千万円単位の損害賠償請求が来るリスクがあります。必ず労災申請を行ってください。

2. 飲食店2大事故:「スライサー」と「フライヤー」

外国人スタッフの事故で圧倒的に多いのが、この2つの機器です。 なぜ彼らは事故を起こしやすいのでしょうか?

対象機器事故の原因と背景具体的な対策ルール
① 魔の「スライサー」清掃中に「刃が回ったまま」掃除をしてしまう。警告シールが読めない、または効率重視による危険軽視。「掃除する時はコンセントを抜いて、プラグを自分のポケットに入れる」を徹底。スイッチオフだけでは不十分です。
② 恐怖の「フライヤー」水分のついた食材の一気投入による爆発。投入量の加減がわからず大量投入してしまう。「ここまでしか入れてはいけない」というラインを赤線で引く。長袖着用で皮膚の露出を減らす。

3. 「オノマトペ(擬音語)」での指示は事故のもと

日本人は感覚的に「オノマトペ」を使って指示を出しがちですが、これが事故の引き金になります。

  • NG指示: 「油がパチパチしたら揚げて」「包丁でササッと切って」「床をキュッキュと拭いて」
  • 外国人の反応: 「パチパチ? ササッ? 急げってことかな?」と誤解し、慌てて作業して怪我をします。

安全指導においては、曖昧な表現は厳禁です。 「180℃になったら」「3秒待ってから」など、「数字」で具体的な指示を出してください。

4. 転倒防止は「靴」への投資から

日本の飲食店の厨房は、水を流して掃除する「ウェット厨房」が多く、非常に滑りやすいです。 しかし、外国人スタッフの中には、母国から持ってきたスニーカーやサンダルで働こうとする人がいます。

コックシューズの支給: 数千円のコストを惜しまず、必ず滑りにくい「耐油・耐滑コックシューズ」を店側で支給してください。 転倒して骨折すれば、数ヶ月分の人件費と治療費が飛びます。靴代は安い保険料です。

5. 事故が起きた時の「初動対応フロー」

いざ事故が起きた時、パニックにならずに対応できるかが鍵です。

  1. 救護・救急車: 最優先です。外国人スタッフは痛みを我慢しがちですが、店長が強制的に病院へ行かせてください。
  2. 状況確認(証拠保全): 「いつ・どこで・誰が・どうして」怪我をしたのか、現場写真を撮り、目撃者のメモを残します。通訳を入れることも重要です。
  3. 労基署への報告(死傷病報告書): 休業が4日以上になる場合は、速やかに労働基準監督署へ報告書を提出します。

「上乗せ労災」の検討を: 政府の労災保険だけでは慰謝料はカバーされません。 訴訟リスクに備え、民間の「労災上乗せ保険(使用者賠償責任保険)」への加入を強くお勧めします。


まとめ:安全指導は「命を守る日本語教育」

「指を切ったら、もう料理人としては働けないかもしれないよ」 そう伝えて、安全ルールを守ることの重要性を理解させましょう。

  • 外国人にも労災は100%適用される。
  • スライサー清掃は「コンセントを抜く」を物理的に徹底する。
  • 「ササッと」などの擬音語指示を禁止する。

言葉の壁があるからこそ、日本人以上に「物理的な安全対策」と「明確なルール」が必要です。 スタッフの身体を守ることは、お店の経営を守ることと同義です。