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無断欠勤・遅刻が直らない時の「イエローカード」制度。解雇トラブルを防ぐ指導記録の残し方

「連絡もなくシフトに来ない。翌日聞いたら『寝てました』と一言…」
「遅刻が当たり前になっていて、注意してもその場しのぎの返事しかこない」

勤務態度の悪いスタッフに対し、「もう明日から来なくていい!」と感情的に伝えたくなる気持ちは痛いほど分かります。しかし、現代の日本では、たとえ外国人スタッフであっても「即日解雇」は極めて高い法的リスクを伴います。

特に特定技能などの正社員雇用の場合、不当解雇として訴えられると、数ヶ月分の賃金支払い(バックペイ)を命じられることもあります。 今回は、トラブルを未然に防ぎつつ、毅然と改善を促すための「イエローカード制度」と、正しい指導記録の残し方について解説します。

1. 日本の「解雇」は世界一ハードルが高い

まず、経営者が知っておくべきは「解雇権濫用の法理」です。 「遅刻が多い」「無断欠勤をした」という事実だけでは、裁判所はなかなか解雇を認めません。

裁判所が重視するのは、「会社側が改善のチャンスを十分に与えたか?」というプロセスです。 「何度も注意したが直らなかった」という客観的な証拠(記録)がなければ、会社側が負けてしまいます。

2. 感情を排した「イエローカード制度」の導入

口頭注意だけで済ませず、段階的なステップをルール化しましょう。これを「イエローカード制度」として全スタッフ(日本人含む)に周知します。

ステップ内容記録・証拠の残し方
①口頭注意最初の遅刻・無断欠勤の際に行います。店長メモや日報に「〇月〇日、〇〇分遅刻。本人に厳重注意し、理由は〇〇とのこと」と日時と内容を記録します。
②改善指導書(イエローカード)注意が3回以上続く、または悪質な無断欠勤があった場合に発行します。違反内容、改善期限、改善されない場合の不利益(減給や解雇の可能性)を明記し、本人の署名(サイン)をもらいます。
③懲戒処分・最終警告改善が見られない場合、就業規則に基づき処分を下します。「次があれば解雇(退職勧奨)となる」旨を強く伝え、書面で通知します。

3. 外国人スタッフ専用「指導記録」の作り方

日本語が不自由なスタッフに対し、日本語だけの指導書を渡しても「内容が分からなかった」と言い逃れされる可能性があります。

  • 翻訳機を使って「母国語」を併記する: 指導書にはDeepLやGoogle翻訳で良いので、必ず母国語の訳を添えてください。例:「あなたは今月3回遅刻しました。これは日本のルールでは許されません。」
  • 「なぜダメなのか」を文化的に説明する: 彼らの国では「数分の遅刻は誤差」という感覚があるかもしれません。「1人の遅刻で、他の3人のスタッフが倍忙しくなる。これは仲間への裏切りだ」というように、チームへの迷惑という観点で伝えると心に響きやすくなります。

4. 「不当解雇」と言わせないための3つの鉄則

どうしても改善が見られず、辞めてもらう決断をした場合、以下の3点を守ってください。

  • 「解雇」ではなく「合意退職」を目指す: 「このままではお互いに不幸だから、別の仕事を探さないか?」と話し合い、本人が納得して「退職願(辞表)」を書く形にするのが最も安全です。
  • 30日前の予告: どうしても解雇する場合、30日以上前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う義務があります。
  • 「指導記録」の保管: これまでの注意記録、サイン入りの指導書を全て保管しておきます。これがあれば、労働基準監督署が来ても「会社はやるべきことをやった」と認められます。

5. そもそも「遅刻させない」環境作り

罰を与える前に、仕組みで防げることもあります。

  • アラーム設定の確認: 日本のスマホのアラーム設定(スヌーズ機能など)を一緒に確認してあげる。
  • 前日の声かけ: シフトの前夜に「明日は8時、待ってるよ!」とLINEを送る。
  • 皆勤手当: 1ヶ月無遅刻・無欠勤なら3,000円支給、といったポジティブなインセンティブを作る。

まとめ:記録はスタッフへの「愛」と「守り」
指導記録を残すことは、決してスタッフを追い詰めるためのものではありません。 「ここまで言ってもらえたのに直せなかった」と本人に自覚させ、納得感を持たせるための誠実なコミュニケーションです。毅然とした態度でルールを守ることで、真面目に働いている他のスタッフのモチベーションを守ることにも繋がります。