「ホールの日本人スタッフが全員接客中で、電話が鳴り止まない!」
「外国人スタッフが電話に出たが、お客様の名前を聞き間違えて予約トラブルになった…」
飲食店において、外国人スタッフに「電話対応」をさせるかどうかは、店長にとって究極の選択です。 対面での接客なら、ジェスチャーやメニューの指差しでなんとかなりますが、「声だけのコミュニケーション」である電話は、外国人にとって最高難易度の業務です。
しかし、人手不足の現場では「電話に出ないで」と言い続けるわけにもいきません。 結論から言えば、「条件付き」で電話に出させることは可能です。 今回は、外国人スタッフに電話を任せるための「判断基準」と、ミスを絶対に出さないための「鉄壁のトークスクリプト(台本)」を解説します。
1. なぜ電話は「N2レベル」でも怖いのか?

日本語能力試験(JLPT)のN2(ビジネスレベル)を持っているスタッフでも、飲食店の電話対応では失敗することがあります。理由は3つです。
- 「表情」が見えない: 相手が怒っているのか、急いでいるのか、空気が読めません。
- 「雑音」が多い: 店内のガヤガヤした音の中で、スマホ越しのかすれた声を聞き取るのは、ネイティブでも困難です。
- 「名前(漢字)」の壁: 「タナカです」は分かっても、「イジュウインです」「コッホです」といった珍しい名前や、漢字の聞き取りは不可能です。
基準は「N3」+「ヒアリング力」
目安としては、JLPT N3以上が必須ラインです。N4以下のスタッフには、リスクが高すぎるので絶対に電話に出させてはいけません。 また、試験の点数よりも「数字(日時・人数)の聞き取りに強いか」が現場では重要になります。
2. 業務範囲を「予約受付」だけに絞る

外国人スタッフに電話対応をさせるなら、「全ての電話」に対応させようとしてはいけません。 「新規の予約受付」だけを任せ、それ以外のイレギュラーな質問はすべて店長に回すルールにします。
| 対応区分 | 具体的な内容 |
|---|---|
| OK(自分で対応) | 「○日の○時に予約したいんだけど」などの新規予約受付。 |
| NG(店長へ代わる) | アレルギー対応、貸切相談、道案内、忘れ物の問い合わせ、クレームなど。 |
「質問されたら答える」のではなく、「予約に必要なことをこちらから聞く」というスタイルであれば、彼らは主導権を持って会話ができます。
3. ミスゼロを実現する「書き込み式」スクリプト

電話の横に、以下の項目が書かれた「予約受付シート(カンペ)」を常備してください。 スタッフはこれを読み上げながら、空欄を埋めていくだけです。
【予約受付トークスクリプト】
スタッフ: 「お電話ありがとうございます。居酒屋〇〇、担当の(自分の名前)です。」
- 日時の確認
スタッフ: 「ご予約ですね。ありがとうございます。ご希望のお日にちはいつですか?」
客: 「来週の金曜日、15日です」
スタッフ: (カレンダーを見て)「2月15日の金曜日ですね。」 - 時間の確認
スタッフ: 「お時間は何時からですか?」
客: 「7時から」
スタッフ: 「夜の19時ですね。」(※必ず24時間制で言い直す) - 人数の確認
スタッフ: 「何名様ですか?」
客: 「4人か5人かな」
スタッフ: 「お席を準備しますので、決まりましたら教えてください。一旦5名様で予約しておきます。」 - 名前の確認(最難関)
スタッフ: 「お名前をカタカナでお願いします。」
客: 「え? 鈴木ですけど」
スタッフ: 「カタカナで、ス、ズ、キ、様ですね。」
※ポイント: 漢字を聞き取るのは無理なので、最初から「カタカナで」と指定させます。 - 電話番号の確認
スタッフ: 「お電話番号をお願いします。」
客: 「090-xxxx-xxxx」
スタッフ: 「(復唱)090-xxxx-xxxxですね。」 - 最終確認(復唱)
スタッフ: 「確認します。2月15日金曜日、19時から、5名様、スズキ様。お間違いないですか?」
客: 「はい」
スタッフ: 「お待ちしております。失礼いたします。」
4. 「保留ボタン」の使い方を徹底させる

最大のトラブルは、分からないのに「ハイ、ワカリマシタ」と答えて電話を切ってしまうことです。 これを防ぐために、「分からない時はすぐに保留ボタンを押して、店長を呼ぶ」という行動を条件反射レベルで叩き込みます。
魔法のフレーズ: 「確認しますので、少々お待ちください」
これさえ言えれば、どんな質問が来ても怖くありません。 「保留の押し方」と「どの内線で店長を呼ぶか」は、入社初日に教えておくべき最重要事項です。
5. Web予約へ誘導するのも手
もし、どうしても電話対応が不安な場合は、「Web予約への誘導係」にしてしまうのも一つの戦略です。
客: 「予約したいんだけど」
スタッフ: 「ありがとうございます。現在、お電話が混み合っております。よろしければ、Webサイト(ホットペッパーなど)からも予約ができますが、ご案内してもよろしいですか?」
これで電話を切ってもらえれば、聞き間違いのリスクはゼロになります。
まとめ:マニュアルがあれば「電話」は怖くない
外国人スタッフが電話を怖がるのは、「何を聞かれるか分からないから」です。 「聞くこと(日付・時間・人数・名前)」が決まっていれば、それは単なる「穴埋め作業」になります。
- 予約受付以外の質問は、すぐに店長へ代わる。
- 名前は必ず「カタカナ」で聞く。
- 「確認します」と言って保留する勇気を持つ。
この3つを徹底すれば、N3レベルのスタッフでも立派な戦力になります。 最初は店長が横について、インカムで指示を出しながら、少しずつ成功体験を積ませてあげてください。



